スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『マキアヴェッリ語録』 塩野七生 (09)





『マキアヴェッリ語録』 (09)





『マキアヴェッリ語録』 塩野七生 新潮文庫
平成4年11月25日 発行


目次
第1部 君主編
第2部 国家編
第3部 人間編






マキアヴェッリ(日本ではマキャベリと表現されることが多い)
は『君主論』の著者として知られ、「マキャベリズム」が
人口に膾炙しています。


その思想を端的に表現する言葉は、
「目的は手段を正当化する」
です。


目的のためならどんな手段を講じてもかまわない、と解する
ことが多いですね。


実は、私もこの書を読むまではそのように解釈していました。
言葉を文脈の中で解釈せず、言葉が独り歩きすることの怖さは、
風説の流布でも経験することです。


福島第一原発事故以後、周辺にお住まいの方々は風説の流布
に悩まされ続けています。拡散した誤情報はさらに誤情報を加え、
拡大していきます。容易に訂正されることはありません。



話しを戻しますと、マキアヴェッリの実像はどのようなもので
あったのか、そして「目的は手段を正当化する」と言っている
ことの真意は何だったのか、を知りたいと思いました。


先入観を取り払い、大前研一さんが言う、「オールクリア
(電卓のAC)」にしてマキアヴェッリの説くことに耳を傾ける
ことにしました。


マキアヴェッリは、1469年5月3日にイタリアのフィレンツェで
生まれ、1527年6月21日に没しています。15世紀から16世紀
にかけて活躍した思想家です。500年位前の人です。


ニッコロ・マキャヴェッリの肖像画

ニッコロ・マキャヴェッリの肖像画 Wikipedia から
 


塩野七生(しおの・ななみ)さんは、「まえがき」に代えて
「読者に」で次のように記しています。塩野さんが解説
ではなく、また要約でもなく、「抜粋」にした理由を説明
しています。


尚、10ページ以上にわたる説明からポイントとなる言葉を
「抜粋」しました。




 この『マキアヴェッリ語録』は、マキアヴェッリの思想の

 要約ではありません。抜粋です。

 なぜ、私が、完訳ではなく、かといって要約でもなく、

 ましてや解説でもない、抜粋という手段を選んだのかを

 御説明したいと思います。

 第一の理由は、次のことです。

 彼が、作品を遺したということです。


 マキアヴェッリにとって、書くということは、生の証[あか]し、

 であったのです。


 マキアヴェッリは、単なる素材ではない。作品を遺した

 思想家です。つまり、彼にとっての「生の証し」は、今日

 まで残り、しかもただ残っただけではなく、古典という、

 現代でも価値をもちつづけているとされる作品の作者でも

 あるのです。生涯を追うだけで済まされては、当の彼自身

 からして、釈然としないにちがいありません。


 抜粋という方法を選んだのには、「紆曲」どころではない

 マキアヴェッリの文体が与えてくれる快感も、味わって

 ほしいという私の願いもあるのです。そして、エッセンスの

 抜粋ならば、「証例冗漫」とだけは、絶対に言われない

 でしょう。


 しかし、彼の「生の声」をお聴かせすることに成功した

 としても、それだけでは、私の目的は完全に達成された

 とはいえないのです。マキアヴェッリ自身、実際に役に立つ

 ものを書くのが自分の目的だ、と言っています。 

 

  (前掲書 「読者に」から PP.3-5、14)




マキアヴェッリの名言をご覧ください。


第1部 君主編



 君主は、自らの権威を傷つけるおそれのある妥協は、

 絶対にすべきではない。たとえそれを耐えぬく自信が

 あったとしても、この種の妥協は絶対にしてはならない。

 なぜならほとんど常に、譲歩に譲歩を重ねるよりも、

 思いきって立ち向かっていったほうが、たとえ失敗に

 終わったとしても、はるかに良い結果を生むことになる

 からである。

 もしも、正面衝突を回避したい一心で譲歩策をとったと

 しても、結局は回避などできないものだからだ。

 なにしろ、譲歩に譲歩を重ねたところで相手は満足する

 わけでもなく、それどころか相手の敵意は、あなたへの

 敬意を失ったことによって、より露骨になり、より多くを

 奪ってやろうと思うようになるのがオチなのだ。


                    ―― 『政略論』 ――

                              (PP.108-109)

         (025-1-0-000-502)
 



 


 指導者ならば誰でも、次のことは心しておかねばならない。

 それは、個人でも国家でも同じだが、相手を絶望と怒りに

 駆りたてるほど痛めつけてはならないということだ。

 徹底的に痛めつけられたと感じた者は、もはや他に道なし

 という想[おも]いで、やみくもな反撃や復讐[ふくしゅう]に

 出るものだからである。

  
                    ―― 『政略論』 ――

                              (P.110)

          (026-1-0-000-503)
 






 元老院議員の中には、戦争経験豊かな人物は多かった。

 だが、現場にいないことと、それゆえ作戦実施に際して

 必要な種々の小さな、しかし生きた情報に接しられない

 立場にあっては、危険はやはりまぬがれない。

 それゆえに、古代ローマでは、軍を率いる指揮官は自らの

 考えるままに行動し、勝利の栄誉も、彼個人のものである

 ようにしたのであった。


                    ―― 『政略論』 ――

                              (PP.113-114)
                              
          (027-1-0-000-504)
 








ポイント

人間を「性善説」と「性悪説」に基いて、分けることがあります。
さしずめ、マキアヴェッリは[性悪説」に基づいて、人間観察を
している、と考えています。


君主(指導者、リーダー)は、「性悪説」に則り、国民や部下を
扱っていかないとならない、ということになります。


ある意味では、「信賞必罰」で臨む必要がある、ということです。
成果を挙げたものにはカネを、信用、信頼できる者には地位を
与えるのです。


成果を挙げられないものにはカネを与えず、信用、信頼でき
ない者は放逐することになります。


そのように、君主には「非情さ」が必要である、と教えている、
と考えています。


ただし、相手を追いつめてはなりません。
必ず、逃げ道を作っておいてやる必要はあります。
手痛い報復や逆襲に遭わないためです。


「窮鼠猫を噛む」の例え通り、開き直られると怖いもの知らず
となり、非常に危険だからです。







キーセンテンス

現場にいないことと、それゆえ作戦実施に際して
必要な種々の小さな、しかし生きた情報に接し
られない立場にあっては、危険はやはりまぬが
れない。



『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』
野中郁次郎他 中公文庫 1991年8月20日 初版発行
に日本軍の作戦の失敗の本質が語られています。


マキアヴェッリが語った内容と酷似しています。


この書の中から、一例を挙げます。
「ノモンハン事件」についての分析です。


 第二三師団の攻撃の場合は、ソ連軍に比較して火砲数、

 とくに弾薬量が少なく、また火砲自体の性能も劣っていた。

 さらに敵情の捜索、観測を十分に行なわずに実施した

 攻撃が失敗するのは当然であった。

 第一次世界大戦において見られたような本格的近代戦の

 実践的体験を持たない日本軍は、物力の意味を理解して

 いなかった。弱体もしくは少数の戦車、航空兵力、砲兵力

 をもって、ソ連軍が構築した近代式陣地を突破しようとした

 のは本来無理であり、結局攻撃部隊はソ連軍砲兵の猛射

 を浴びて大損害を出し、攻撃は停頓した。
 

  (前掲書 P.57)




 ノモンハン事件は日本軍に近代戦の実態を余すところなく

 示したが、大兵力、大火力、大物量主義をとる敵に対して、

 日本軍はなすすべを知らず、敵情不明のまま用兵規模の

 測定を誤り、いたずらに後手に回って兵力逐次使用の誤り

 を繰り返した。情報機関の欠陥と過度の精神主義により、

 敵を知らず、己を知らず、大敵を侮っていたのである。
 

  (前掲書 P.68)







こちらのブログもご覧ください!
藤巻隆のアーカイブ



私の書棚(読み終わった本の一覧)
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
検索フォーム

プロフィール

藤巻隆のブログ

Author:藤巻隆のブログ
藤巻隆(ふじまき・たかし)です。

私の他のブログを、ご覧いただい
ている方がいらっしゃるかも
しれません。

新たにブログを追加しました。

今回は、名言やキーワード、
あるいは使いたい言葉を
テーマにしました。

雑誌や書籍から選んだ言葉を
ご紹介していきます。

このブログは、言葉のデータ
ベースとして、また備忘録
としての機能を持つものです。

私が読み終わった雑誌や書籍
から言葉をご紹介するブログ
です。

ご愛顧いただけると光栄です。

カウンター

ランキング

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ
にほんブログ村

サイト内ランキング



アフィで稼ぐ!

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
12030位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
哲学・思想
671位
アクセスランキングを見る>>

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

アマゾン・サーチボックス

スポンサード・リンク

だいぽん
抜群の安定性と爆発力を誇るアフィリエイトの 秘訣を徹底解説しています。 だいぽんさんが今も月500万~1000万くらい稼いでいる ノウハウです。 あなたも安定的な収入の柱を作りませんか? 抜群の安定性と爆発力を誇るアフィリエイトの 秘訣を徹底解説しています。 だいぽんさんが今も月500万~1000万くらい稼いでいる ノウハウです。 あなたも安定的な収入の柱を作りませんか?

最新コメント

最新トラックバック

アクセスアップ

アクセスアップのために、これらを使ってみてください。オートサーフですから手間いらずです。

スポンサード・リンク

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。