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『ネクスト・ソサエティ』 P・F・ドラッカー (17)



『ネクスト・ソサエティ』(17)





ドラッカーについては、改めて詳しくご説明する必要
がないくらい有名な人物ですので、概略に止めます。


 
 ビジネス界にもっとも影響力をもつ思想家

 として知られる。

 「分権化」「目標管理」「経営戦略」「顧客第一」

 「知識労働者」「ベンチマーキング」「コア・コン

 ピタンス」などのマネジメント理念を生み出し、

 発展させてきた。

 クレアモント大学院大学教授。

 1909年11月19日生まれ。

 2005年11月11日死没
 

 (「著者紹介」から)








 正しい仮説

 課税に対し、日本についての正しい仮説は

 次のとおりである。

 第1が、官僚の優位性はほとんどあらゆる

 先進国で見られるとの仮説である。アメリカ

 といくつかのあまり人口の多くない英語圏の

 国、すなわちオーストラリア、ニュージーランド、

 カナダのほうが例外である。


 第2が、日本の官僚は、われわれが考えるより

 もはるかに耐久性があるというものである。日本

 の官僚は、長年の不祥事と無能の暴露にもかか

 わらず権力を維持してきた。


 第3が、先進国では、アメリカを別として、社会の

 維持にはエリートの指導力が必要とされていると

 いうものである。後を継ぐ者が現れないかぎり、

 既存の指導層に頼らざるをえない。


 第4が、日本では先送り戦略が有効であるという

 ものである。


 そして第5が、日本の政治家、官僚、経済界など

 の政策形成者にとっては、大事なのは経済よりも

 社会であって、先送りこそ合理的な戦略であると

 いうものである。


                     (PP.250-251)

         (049-1-0-000-475)

 



 


 天下り問題

 当人にとっての最高のポストに到達した45歳から

 55歳の官僚が大企業などに迎えられるという、
 
 日本語でいう天からの降臨すなわち天下りは、

 アメリカでは日本特有のものとされている。それは、

 日本における官僚の支配、権力、特権のあからさま

 な象徴とされている。しかし、これはアメリカを含む

 あらゆる先進国に共通する慣行である。

            
                     (P.252) 

          (050-1-0-000-476)

 





  フランスでは、40歳から45歳で栄ある財務官に

 任命された後、産業界や金融界のトップに天下る。

 権力をともなう重要な地位のほとんどが元財務官

 で占められている。イギリスでさえ、高級官僚は

 銀行や保険会社の頭取や社長に天下る。

 アメリカでも天下りは周知のことである。何十人もの

 元将軍や元提督が、防衛産業や宇宙開発産業に

 役員として天下る。議会スタッフや政治任命の官僚

 というワシントンの支配層が、ロビイストや法律事務所

 のパートナーとして迎えられる。

 ところが、日本の官僚は絶頂期にあった1970年当時

 でさえ、経済的な影響力ではヨーロッパの官僚に遠く

 及ばなかった。フランスやドイツでは政府自らが経済

 活動の相当部分を所有している。


                      (PP.252-253)

          (051-1-0-000-477)

 








この文章を読むまで、官僚の「天下り」は日本特有の慣行
である、と思っていました。


実はそうではなかったのですね。
アメリカでも、フランスでも、さらにイギリスでさえ、「天下り」
は周知のことだったのです。


なぜ日本の官僚制度ばかりが、海外から批判されるのでしょう。
その理由の1つは、やはり欧米諸国のほうが日本よりかなり上位
にあるという意識が強いからでしょう。


それでも言えることは、民主党と共和党の2大政党制を採用する
アメリカでは、政権が取って代わると、官僚を含む役人は入れ
替わるのに対し、日本ではそのまま維持されることです。


つまり、日本では政権が変わろうと、官僚を含む国家公務員は
地位を維持できるということになります。権力を維持、継承して
いけるのです。一度握った既得権益を手放すことなどしません。
どんなことをしても守ろうとします。


一見すると、規制緩和(ディレギュレーション)が行われたように
見えて、実は名称だけ変えて復活しているケースはいくらでも
あります。



さて、長い間『ネクスト・ソサエティ』からピーター・F・ドラッカー
の名言をご紹介してきましたが、今回で最後になります。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


次回からは、『マキアヴェッリ語録』(塩野七生 新潮文庫 
1992年11月25日 発行)から名言をご紹介します。


この本の冒頭(「読者に」)で、塩野七生さんは、次のように
ことわっています。

「この『マキアヴェッリ語録』は、マキアヴェッリの思想の
要約ではありません。抜粋です」


できるだけ忠実に、そうかと言って完訳でもなく、抜粋に
した理由については、スタートする際にご紹介しましょう。


ご存じのとおり、マキアヴェッリは15~16世紀イタリアの
政治思想家です。日本では「権謀術数」を操る、悪いイメージ
が固定化していますが、この本を読むとそのイメージが覆され
ます。


「目的は手段を正当化する」
マキアヴェッリの言葉として、特に有名です。


目的のためにはどんなことをしてもよいのだ、という意味に
なります。


ですが、この言葉の前後を読み、文脈の中でこの言葉を
もう一度捉え直すと、決してそれほど単純なことではない
ことに気づきます。


彼は一定の条件下においては、それも許されるというような
ことを書いています。無条件で認められるわけではありません。


この本の中には、私たちが日常何気なく使う言葉がマキア
ヴェッリが言った言葉だったのか、と気づくことが多くあります。


そのような事例もご紹介していきます。


ご期待下さい!







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