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『ネクスト・ソサエティ』 P・F・ドラッカー (16)



『ネクスト・ソサエティ』(16)





ドラッカーについては、改めて詳しくご説明する必要
がないくらい有名な人物ですので、概略に止めます。


 
 ビジネス界にもっとも影響力をもつ思想家

 として知られる。

 「分権化」「目標管理」「経営戦略」「顧客第一」

 「知識労働者」「ベンチマーキング」「コア・コン

 ピタンス」などのマネジメント理念を生み出し、

 発展させてきた。

 クレアモント大学院大学教授。

 1909年11月19日生まれ。

 2005年11月11日死没
 

 (「著者紹介」から)








 ▷ 21世紀最大の不安定化要因は何か?

 ――何といっても人口構造の変化である。

 ただし、先進国における最大の問題は高齢化ではない。

 少子化のほうである。人口の水準維持に必要な出生率

 2・2を超える国は、先進国ではアメリカだけだ。

 しかし、それも子供4人が当たり前のラテン系のおかげ

 である。 
    
                     (P.222)

         (046-1-0-000-472)

 



 


 変動相場制は、おそるべき通貨の不安定化を

 もたらす一方において、膨大な世界通貨を

 生み出した。この世界通貨は、グローバル経済

 とその通貨市場以外の場には存在しない。

 それは、投資、生産、消費、貿易などの経済活動

 ではなく、通貨取引によって生み出される。

 価値の尺度、富の蓄積、交換の手段など、

 いかなる通貨の定義にも当てはまらない。

 いかなる属性ももたない。それは現実の通貨では

 なく、いわばバーチャルな通貨である。

 しかし、その力は本物である。あまりに膨大な

 ために、一国への出入りそのものが、金融、

 貿易、投資にともなう通貨の流れよりもはるかに

 大きなインパクトを与える。1日で、全世界が

 貿易と投資において1年間に必要とする額を

 取引する。経済的な機能をもたないがゆえに、

 まったく自由に移動する。トレーダーがクリック

 するだけで、数十億ドルが通貨から通貨へと

 移動する。通貨としてのいかなる経済的な機能

 ももたず、金融上のニーズも満たさないがゆえに、

 経済の論理に従うことがない。移り気であって、

 噂や予期せぬことによって簡単にパニックに陥る。

            
                     (PP.234-235) 

          (047-1-0-000-473)

 





 国際貿易理論は貿易に投資が続くことを当然
 
 としてきた。また多くの人が貿易とは財の貿易

 のことと思ってきた。しかし、今日では投資に

 貿易が続いている。しかも財の移動よりも

 サービスの移動がグローバル経済の駆動力

 となっている。

 第二次大戦後、財の貿易はいかなる時代よりも

 急速に伸びた。しかし、金融サービス、経営コン

 サルティング、会計、保険、小売りなどのサービス

 の貿易のほうがさらに伸びている。かつてこの

 サービス貿易は統計さえとられなかった。

 ところが今日では、サービス輸出はアメリカの

 全輸出の4分の1を占め、唯一の黒字の稼ぎ手

 となっている。このサービス貿易は貿易理論に

 従わない。そのほとんどがレートの変動と関係

 がない。レートに敏感なのは旅行業だけである。


                      (P.240)

          (048-1-0-000-474)

 







1日の通貨取引の量はどのくらいなのでしょうか?

ただし、実需の通貨取引(貿易や旅行代金の決済など)
よりも、ドラッカーが言うように、バーチャルな通貨取引
のほうが圧倒的に多いことは間違いありません。


さっそく、調べてみました。
国際決済銀行(BIS)による統計数値です。


外国為替市場 Wikipedia から



国別で見ると、英国が1位でした。
私はてっきり米国だと思っていました。
確かに、外国為替取引における通貨は、
米ドルが1位ですが、取引の多くは英国で
行われているということですね。


日本の外国為替取引額は、英国の7分の
1くらいです。


全世界で1日に外国為替取引が行われる総額は、
英国の数値を参考にすれば、約6兆6650億ドル
(2兆7260億ドル/40.9%)ということになります。


ものすごい金額ですね! 1日当たりですからね。


「銀行間取引を大別すると、直物取引、先物取引
およびスワップ取引に分かれる」
(上記ウェブサイト から)
ということです。


ドラッカーが言う「現実の通貨ではなく、いわば
バーチャルな通貨である」とは、このような外国為替
取引のことを指しています。







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『ネクスト・ソサエティ』 P・F・ドラッカー (15)



『ネクスト・ソサエティ』(15)





ドラッカーについては、改めて詳しくご説明する必要
がないくらい有名な人物ですので、概略に止めます。


 
 ビジネス界にもっとも影響力をもつ思想家

 として知られる。

 「分権化」「目標管理」「経営戦略」「顧客第一」

 「知識労働者」「ベンチマーキング」「コア・コン

 ピタンス」などのマネジメント理念を生み出し、

 発展させてきた。

 クレアモント大学院大学教授。

 1909年11月19日生まれ。

 2005年11月11日死没
 

 (「著者紹介」から)








 1911年にシュンペーターが明らかに

 したように、経済活動の現実は創造的

 破壊による動的な不均衡である。

 今日の理論では市場で起こっていること

 を説明できない。そもそも市場が予測

 不可能なシステムではない。本質的に

 不安定なシステムである。不安定である

 以上、何者といえども自らの行動基盤を

 既存の市場に置くことはできない。人間

 行動を説明すべき理論としてはかなり

 深刻な問題である。

 明らかなことは、長期の均衡さえ短期の

 反応の集積にすぎないということである。

 しかし、まさにこのことが市場の強みで

 ある。市場が短期を規定する。 
    
                     (PP.205-206)

         (043-1-0-000-469)

 



 


 日本にはグローバル経済の経験が

 ほとんどない。産業のほとんどが保護

 されたままであり、おそろしく非効率で

 ある。紙を輸入することになれば、大手

 の製紙会社は2日もしないうちに消える

 かもしれない。

 金融サービスでも、門戸を開放した都度、

 アメリカその他の金融サービス機関に

 市場をもっていかれている。すでに外国

 為替取引は外国企業に握られた。

 外為のトレーダーになるには英語が不可欠

 である。2カ国語は流暢に話せなければ

 ならない。日本語はジュネーブではあまり

 使われない。資産管理の市場が開放された

 ときも、半年後には外国企業に取られて

 しまった。日本には腕のよい資産管理マネ

 ジャーがあまりいなかった。
            
                     (P.217) 

          (044-1-0-000-470)

 





 いま言ったことすべてにかかわらず、日本を

 軽く見ることはできない。一夜にして180度

 転換するという信じられない能力をもっている。

 ただし助け合いの伝統のあまりない日本では、

 痛みは耐えがたいものとなろう。

                      (P.218)

          (045-1-0-000-471)

 







ドラッカーは、日本の企業に対し、相当手厳しい
指摘をしています。「傷口に塩を塗る」ような指摘
です。


ですが、その反面、日本は決して侮れないこと
も指摘しています。偏見を持って話しているの
ではないことが分かります。


それは、ドイツとともに敗戦国でありながら、
戦後、短期間で復興を成し遂げた国であることを
認めているからです。


ドラッカーの指摘の中で、金融サービスに関する
日本の金融機関の状況は、この本が出版された
2002年から13年後の今日でも、ほとんど変わ
っていないことに気づくことでしょう。


日本の金融機関が設定した投資信託(ファンド)
が世界中で取引されている例は、私が知るかぎり
ありません。少なくとも日本のファンドで、世界で
名の通ったファンドはありません。


「東京市場にフジマキあり」と言われた、藤巻健史
さんのような、著名なトレーダーもほとんどいま
せんね。


藤巻健史さんは、米モルガン銀行東京支店長を
務めていた時、外為と債券、株式のトレーダーを
兼務していて、特に債券の売買で莫大な利益を
上げ、米国でも名を知られた存在でした。


ちなみに、伊勢丹のカリスマバイヤーとして有名
だった、故・藤巻幸夫(後に幸大と改名)さんとは
ご兄弟です。


他には、ニューヨーク在住の大竹愼一さんを著作
を通じて知っているくらいです。


外国為替取引において、米ドルが以前と比べ、
弱くなったとは言え、基軸通貨であることに変わり
ません。米ドル、欧州ユーロ、日本円が主要通貨
ですが、世界中どこででも使えるのは、米ドルだけ
です。


日本円が基軸通貨になることは、これからもない
でしょう。


「日本語はジュネーブではあまり使われない」
という記述は、思わず苦笑いしてしまいました。


ニューヨークに国連本部があり、ジュネーブには
国連事務局があります。


どちらにおいても、日本語は公用語にはなって
いない、と言われているのと同じです。


外国為替市場で、どの通貨がどれだけの比率で
使われているかを示す資料が見つかりましたので、
ご紹介します。



立命館大学の奥 田 宏 司さんの論文の中から
です。


2013 年の世界の外国為替市場における取引
(BIS と各国中央銀行の調査)
― ユーロと人民元に注目しながら ―
奥 田 宏 司



 BIS が通貨別取引を比率で示したのが第 2 表である

 (すべての種類の全為替取引額に対する各通貨の取引

 額比率、全比率は合計すると 200%)。

 一方がドルになっている取引は 13 年に87%、

 同じようにユーロが 33%、円が 23%、ポンドが

 12%などとなっている。

 この 4 通貨で200%のうちの 155%を占めている。

 以下、オーストラリア・ドル、スイス・フラン、カナダ・

 ドルとなっており、これらの先進諸国通貨を含めると

 174%となる。10 年以後、新興諸国通貨の成長が

 みられるが、世界の外為市場で取引されている諸通貨は

 依然として先進諸国通貨が圧倒的である。
 

 2013 年の世界の外国為替市場における取引
 (BIS と各国中央銀行の調査)
 ― ユーロと人民元に注目しながら ―
 奥 田 宏 司
 から


外為取引の通貨区分比率

外為取引の通貨区分比率



米ドルの取引比率が圧倒的であることが、この資料からも
理解できますね!







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『ネクスト・ソサエティ』 P・F・ドラッカー (14)



『ネクスト・ソサエティ』(14)





ドラッカーについては、改めて詳しくご説明する必要
がないくらい有名な人物ですので、概略に止めます。


 
 ビジネス界にもっとも影響力をもつ思想家

 として知られる。

 「分権化」「目標管理」「経営戦略」「顧客第一」

 「知識労働者」「ベンチマーキング」「コア・コン

 ピタンス」などのマネジメント理念を生み出し、

 発展させてきた。

 クレアモント大学院大学教授。

 1909年11月19日生まれ。

 2005年11月11日死没
 

 (「著者紹介」から)








 19世紀のシティの繁栄は、ドイツから

 来たネイザン・ロスチャイルドによって

 もたらされた。ナポレオン戦争後、

 ロスチャイルドは長期債券のロンドン

 での引き受け、発行、売買を通じ、

 ヨーロッパ諸国と南米の新興独立国

 へ融資することによって資本市場を

 つくり出した。

 シティにやってきたのはロスチャイルド

 だけではなかった。同じくドイツから

 シュローダー、ノルウェーからハンブロス、

 フランスからラザール、アメリカから

 J・P・モルガンがやってきた。彼らは

 ロンドンに現地法人をつくった。

 国籍をとる者も多かった。


 彼らがロンドンを選んだのは、イギリスが

 世界一の貿易国だったからだけでは

 なかった。これまた、主としてロスチャイルド

 の発案であり貢献だった。

 ウォルター・バジョットの『ロンバート街』

 (1873年)に明らかなように、ロスチャイルド

 の貢献によって、ロンドンが世界でも抜きん

 でた情報センターになっていたからだった。

 ロスチャイルド家では、兄弟のそれぞれを

 ヨーロッパ各地の金融中心地に配置し、

 伝書鳩によるイントラネットをもっていた。

 それはすでに、ロンドンにいるネイザンを

 CEOとするグローバル企業だった。  
    
                     (P.187)

         (040-1-0-000-466)

 



 


 いかなる産業といえども、外の世界、

 すなわち顧客にサービスを提供する

 ことなしに、繁栄どころか生き延びる

 ことさえできない。
            
                     (P.192) 

          (041-1-0-000-467)

 





 経営陣が大金を懐に入れつつ大量の

 レイオフを行なうことは、社会的にも

 道義的にも許されない。そのような行為

 が一般社員にもたらす憤りとしらけは、

 必ず高いつけとなって返ってくる。

 人間として生きるということの意味は、

 資本主義の金銭的な計算では表せない。

 金銭などという近視眼的な考えが、生活

 と人生の全局面を支配することがあっては

 ならない。

                      (P.204)

          (042-1-0-000-468)

 







ロスチャイルドで思い出したことがあります。
昔、『赤い盾―ロスチャイルドの謎』という、
2分冊の本を読みました。

  

ロスチャイルドは、ドイツ語で
ロート+シルト→赤い盾
の意味だそうです。
なお、盾とは別に表札の意味もある、
とのこと。


『赤い盾』を読むと、ロスチャイルド家は、
今でも陰に陽に世界中に影響力を及ぼ
していることが分かります。


ドラッカーが、『ネクスト・ソサエティ』の中で、
ロスチャイルドについて語ったのは、
米国ウォールストリートと、英国シティという
世界の2大金融市場の一角を「占有」して
いたという歴史的事実を認めていたからに
違いない、と思います。


その一方で、ドラッカーはこう語っています。
「人間として生きるということの意味は、
資本主義の金銭的な計算では表せない。
金銭などという近視眼的な考えが、生活
と人生の全局面を支配することがあっては
ならない」


金銭はとても大切なモノですが、それに
支配されてはならないのです。
キレイ事のように感じる方もいるかもしれ
ませんが。







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